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2023年5月22日

米国内科学会のHbA1c目標値(その1)

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Ⅰ はじめに 

2018年3月にアメリカ内科学会(American College of Physicians : ACP)が、妊娠していない2型糖尿病患者の血糖管理に関する新しいガイドラインを発表して大きな議論を呼び起こしました。このガイドラインでは糖尿病血糖コントロールの指標となるHbAlcの目標値について、従来よりも緩和して、さらに治療も緩めることを提案しました。 

Ⅱ ACPの糖尿病コントロールに関する見解 

これまで世界中で報告された数多くの論文調べて,糖尿病のコントロール指標として汎用されているHbAlcと、網膜症、腎症、神経障害などの細小血管障害や心筋梗塞・脳梗塞という動脈硬化性疾患との関係を検討しました。
その結果、これまで報告された結果からは、HbAlcを7.0%以下にしなければならない積極的な根拠は見当たらないとして、妊娠していない2型糖尿病患者でのHbAlc目標値について、以下のようなガイダンスを提唱しました。 

1  薬物療法のもたらす利益と害、患者の好み、患者の個々の健康状態と余命、治療による負担と医療費について個々の患者との話し合いを踏まえて、2型糖尿病患者の血糖コントロール目標を個別化しなければならない。 

2  ほとんどの2型糖尿病患者でのHbAlc目標値は、7~8%とすべきである。 

3  HbAlc6.5%未満を達成している患者では,薬物療法を弱めることを考慮すべきである。 

4  80歳以上の高齢者、介護施設の居住者や、慢性疾患(認知症、癌、末期腎臓病、重症閉塞 性肺疾患(COPD)やうっ血性心不全など)を併発していて、余命が10年以下と考えられる患者では、高血糖による症状を最小限にする治療を行うべきで,HbAlcの目標値を設定することは避けるべきである。 

ACP会長のJack Ende氏は、今回の改訂でHbAlcの目標値は緩和されましたが、「糖尿病による高血糖状態が長期にわたり続くと心臓発作や脳卒中、腎不全につながるほか、失明や下肢切断リスクも伴うため、2型糖尿病の早期発見・早期治療の重要性には変わりはない」と強調しています。 
Ende氏によると、糖尿病の管理目標については多くのガイドラインが発表されており、一致した見解が得られていない部分も多かった。そのため、今回はこれまでの指針を評価し、プライマリケア医向けの最適な指針をまとめたとのことです。個別化治療の重要性については、例えば、認知機能が低下した80歳の患者で50歳の時と同じHbAlc目標値を設定するのは安全とは限らず、むしろ有害な場合もあるとしています。 

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