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2017年4月3日

喫煙と糖尿病(その2)

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Ⅲ 糖尿病の慢性合併症と喫煙

1)動脈硬化症と喫煙
 喫煙が心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患と関連が深いことは昔から報告されています。動脈硬化による頸動脈の狭窄と喫煙との関連を調べた最近の研究では、喫煙者ほど狭窄が速く進行することが示されました。また、タバコの動脈硬化に対する影響は、能動喫煙ばかりか受動喫煙でも起こることが明らかになるとともに、その影響は人体がタバコに暴露された期間や量と関係するとのことです。さらに、喫煙の有害性は動脈硬化にとって、蓄積性で不可逆的なものだという報告もあります。

2)細小血管障害と喫煙
 糖尿病性細小血管障害と喫煙の関係については、腎症、とくに早期腎症でみられる微量アルブミン尿の増加と関係するといわれています。高血圧症と糖尿病性腎症を合併した1型糖尿病患者を対象にした調査によると、腎症の進行が喫煙者の53%にみられたのに比べて、非喫煙者では11%と低く、過去喫煙者では33%であったとのことでした。
 この他にも、喫煙者では網膜症の合併頻度が高いとか、末梢神経障害をより早期から発症しやすくなるという報告もあります。

3)喫煙による合併症発症のメカニズム
 タバコの煙には約4000種類以上の化学物質が含まれており、そのうち約200種類は有害物質だとされています。このため、喫煙の血管の障害に働く因子も数知れないほどあるとされています。
 喫煙は交感神経の緊張を高めることで、急激な血管運動性の変化を引き起こして血行動態に影響します。また、喫煙は血小板を活性化させ、血液の凝固系を亢進させて血液の粘調性を高めます。また、喫煙者では中性脂肪の増加と善玉コレステロール(HDLコレステロール)の低下がみられるため、これらも動脈硬化を一層促進させます。
 喫煙者では血糖コントロールが不良なことが多いとされていますが、これは喫煙によりカテコラミン、コルチゾール、成長ホルモンなどというインスリンの働きを阻害するホルモンの分泌が亢進するために、直接的に血糖コントロールを悪化させるためだとされています。

Ⅳ 糖尿病の発症に対する喫煙の影響
 
 喫煙によりインスリン抵抗性が増大するといいます。このことは、糖尿病患者ばかりでなく、健常人でも喫煙により糖尿病が発症する危険性が増すことを意味します。実際、我が国の2312名の男性会社員を8年間追跡調査した研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べて糖尿病の発症率が3倍高いとされています。
 また、禁煙後に体重の増加がみられますが、これは主に食習慣や禁煙による代謝調節の変化が原因だとされています。この禁煙後の体重増加は禁煙の効果を相殺する可能性もあり、禁煙直後の食生活には十分な注意が必要だとされています。

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