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2018年5月9日

定年後の糖尿病治療(その1)

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Ⅰ はじめに
 
 会社勤めをしていると、残業で夕食時間が不規則になる、接待や宴会で外食が多くなり食事療法が守られない、人前でインスリンが注射できない、単身赴任などなど、糖尿病の療養上いろいろな制約を生じてくるため、会社勤めそのものが糖尿病コントロールを乱す原因だということもできます。
 定年退職後は、自由時間が多くなり、今までとは違った生活が始まります。この時期にもう一度糖尿病治療を見直して、糖尿病の療養を主体にしたライフスタイルを確立する必要があるといえます。

Ⅱ 退職前後の生活調査
 
 退職前後の糖尿病患者さんを対象にした興味深い調査結果があります。

1)生活の変化
 定年後には自由時間が増えて(96.3%)いますが、毎日何かやるべきことは決まっている(80.5%)とのことでした。趣味がある人が多い(878.8%)のですが、クラブやサークル活動に参加している人(37.8%)は少ないようです。
 糖尿病療養への取り組みが積極的になった人が多くみられました(85.4%)が、これはに退職後にストレスが軽くなったり感じなくなったこと(96.3%)と、生活リズムが規則的になったこと(85.4%)も関係しているようです。

2)食事の変化
 食事時間の不規則な人が減り、規則正しくなった人が増えました(92.7%)。昼食を外食ですませる人は減り、自宅でとるようになりました(82.9%)。間食は止たり、減らした人(30.1%)と、反対に間食が増えたり始めた人(21.9%)がほぼ同数でした。しかし、さすがに宴会の回数は退職前(82.2%)に比べると退職後は大幅に減っています(9.9%)。退職後に飲酒を止めたり減らした人(68.3%)に比べて、飲酒を始めたり、飲酒量が増えた人は少数でした(6.1%)。

3)運動の変化
 
 退職前は運動ができなかった人(47.6%)も退職後は運動するようになり、退職後に運動しない人(11.0%)は大幅に減っています。1週間に3回以上運動する人は、退職前は48.7%しかいませんでしたが、退職後は84.2%まで大幅に増えています。1日に1万歩以上歩く人も退職前の18.3%から退職後は41.5%に増えています。

4)薬の服薬
 薬の服薬を忘れる人は、退職眼の41.1%から退職後は19.6%に減少しています。

5)HbA1cの変化
 退職前3ヶ月と退職後3ヶ月のHbA1cを比べたところ、平均値で7.5%から7.1%へと改善していました。

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