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2019年1月28日

減量のための外科手術について(その2)

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Ⅲ 減量手術の術式

1)Roux-en-Y 胃バイパス術
 
 胃癌手術の時などで胃亜全摘手術をした後の再建術として以前より行われていた術式を減量手術として転用したものです。これまでの30年にわたる検討から、90%もの患者が50%減量を達成していました。
 この手術では胃を噴門(胃と食道の接合部)側で小袋状に容量を小さくした上で下から挙上した小腸と吻合します。このため、一回で食べられる食事量と栄養吸収度の両者が低下します。開腹手術、腹腔鏡下のいずれの方法でも手術可能です。
 この手術で2/3の患者さんで減量が達成でき、84%の糖尿病患者で血糖値が改善しますが、この効果は体重減少が生じる前から認められます。同時に、高血圧や睡眠時無呼吸症候群も改善するとされています。
 手術の合併症としては、術後早期では吐気、嘔吐、下痢、便秘がみられ、中期合併症としては胆石症、吻合部狭窄、潰瘍形成、ダンピング症候群、吐気が、後期合併症としては鉄・葉酸・ビタミンB12・ビタミンD欠乏症があります。

2)十二指腸転換術
 
 次によく行われるのが胃切除+胆膵バイパス術、または十二指腸転換術と呼ばれる方法で、部分的な胃切除をしながら残胃と回腸(小腸の終わりの3/5の部分)をつなぐ方法です。最近の調査では、他の術式よりも優れた体重減少効果(平均減少体重46Kg、減少BMI17.99、過量体重の70%減量)と糖尿病改善(98.9%の患者で血糖値が改善して投薬不要となる)が報告されています。
 しかし、この術式は他の術式に比べて手術リスクが高いという問題があります。依然として1.1%もの手術患者の死亡リスクがあります。原因は、胃損傷、腹腔内膿瘍、膵炎などがあります。

3)胃バンディング法
 
 人為的に通過障害を起こす術式です。この手法で多用されるのが内視鏡下で狭窄度調節が可能なバンドを挿入する方法です。胃の上方に拡張可能なシリコンリングを挿入し、胃への食物流入を調節します。術後のリングの調節は皮下に埋め込んだリザーバーを介して、外来で状況を見ながらゆっくりと行っていきます。挿入後1年間は年5~6回、2年目からは年2~3回の頻度で調整し、患者の状態と体重減少度を評価します。
 体重減少(平均減少体重28Kg、減少BMI10.4)、体重減少速度(0.5~1Kg/週)ともに他の術式より少なく、80%の患者で糖尿病の改善をみたものの血糖値が正常化した例は47%でした。これ以外の高脂血症、高血圧、睡眠時無呼吸症候群などの改善率は他の術式と遜色ありませんでした。
 合併症はバンド部の胃ヘルニア、胃逸脱、バンド部びらんなどでした。

Ⅳ まとめ
 
 日本人ではBMI35以上の超肥満は男性0.13%、女性0.27%にすぎません。日本で肥満手術というと、脂肪吸引手術を指しますが、これは局所的な皮下脂肪除去で、糖尿病や高血圧、高脂血症などへの影響はなく、単なる美容形成的手術に過ぎません。

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