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2018年8月7日

白衣高血圧と仮面高血圧(その2)

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Ⅲ 仮面高血圧
 
 白衣高血圧とは対照的に、医療環境下で測定した血圧が常に正常であるのに対して、非医療環境下で測定した血圧が高値である状態を仮面高血圧といいます。診察室で測定した血圧が良好であるにもかかわらず、持続高血圧と同等の心血管リスクがあることが示されていて、重要視されています。
 仮面高血圧の頻度は、外来診療や健診の際の血圧測定で正常とされたもののうち約10%程度とされています。このことは、医療環境下の血圧測定だけでは治療すべき対象患者を多く見逃してしまっている可能性を示すものといえます。糖尿病患者での仮面高血圧の頻度は今のところ明らかではありませんが、一般集団での頻度よりは高いものと推定されています。
 仮面高血圧の病態については現時点では十分に解明されたものとはいえませんが、降圧薬服用の有無で区分して考えられています。
 降圧薬を服用していない場合には、非医療環境下での血圧が高くなる原因として、喫煙や職場などでのストレスが挙げられています。一方、降圧薬を服用している場合には、服用している薬の降圧効果の持続性を考慮しなければなりません。降圧薬の処方は朝1回内服という場合が一般的です。このような場合、長時間作用がたといわれる薬剤でも個体差によりその薬効が24時間持続していない場合があります。このようなときには、朝に降圧薬を服用して午前中に外来で血圧を測定するときには、降圧薬の効果が十分に現れている訳ですから、血圧は正常域に復帰していますから、薬効が切れた状態の早朝に測定されている家庭血圧とは異なった結果となるのです。
 仮面高血圧を診断するためにはまず、その可能性を疑うことが必要となります。外来で測定した血圧が正常域にあるにかかわらず心臓や腎臓などに臓器障害を伴うような場合には、特に仮面高血圧を疑って、非医療環境下での血圧を評価する必要があります。仮面高血圧の頻度は決して低いものではないため、その診断にはやはり家庭血圧の測定を活用する必要があります。
 また、仮面高血圧の治療に際しては、内服する薬剤の降圧効果が24時間通して持続するように配慮されていなければなりません。現在汎用されている降圧薬は多くのものは24時間降圧効果が持続するように作られていますが、これらの薬剤を1日2回に分けて内服する方法も有効です。

Ⅳ 家庭血圧の今後
 
 最近の研究では、これまで述べてきたように家庭血圧の持つ臨床的意義が明らかにされてきており、糖尿病患者でも24時間にわたる厳格な血圧管理が求められています。
 家庭血圧は、適切な器機と正しい測定方法に基づいて正確に測定されるべきで、このような正確な家庭血圧の測定結果の集積が、高血圧治療を正しい方向へと導いてくれるものと期待されています。

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