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2017年1月6日

睡眠時無呼吸症候群について(その1)

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Ⅰ睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome、略してSAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が反復して起こり、その程度が睡眠1時間当たり5回以上認められ、昼間の眠気や全身倦怠感など何らかの身体症状を伴う病気のことです。診断のためには、終夜睡眠ポリグラフ検査が必要です。この検査は、米国では2001年に約120万件(427件/人口10万人)行われたのに対して、我が国では人口当たりの比率で約23分の1しか行われていません。今まで我が国のこの分野の医療はすっかり遅れていました。

Ⅱ 高いSASの有病率
 
 欧米で行われた調査によると、30から60歳の成人が睡眠呼吸障害を持つ頻度は、1時間当たりの無呼吸数を5以上で診断すると、男性の24%、女性の9%でした。しかし、無呼吸数が5以上でも、いびき以外には無症状な人が多いために、診断の基準を少し厳しくして、日常生活に障害が起こるほどの日中の眠気を併せ持つ人をSASと診断すると、有病率は男性の4%、女性の2%となりました。日本人は人種的特性(顔貌)から、欧米の白人よりも有病率が高いものと考えられています。これは予想以上に高い数値でした。

Ⅲ SASの病態と症状・症候
 
 SASの95%以上は、種々の原因による上気道(ノド)の解剖学的狭窄あるいは上気道筋の緊張性低下が原因で発症する閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。覚醒時には舌や軟口蓋などのノドの筋肉は呼吸のリズムに同調して周期的に緊張して、ノドが潰れないように維持しています。睡眠にはいると、ノドの筋肉は弛緩して緊張のリズムは失われます。この時、ノドに狭い部分があると、末梢に大きな吸気陰圧が発生し、弛緩したノドの筋肉が胸腔側に引き込まれるように虚脱して、上気道が閉塞するのです。上気道の閉塞が生じると、低酸素血症や高炭酸ガス血症、呼吸性アシドーシスが生じ、交感神経活動が高まって脳波上覚醒状態に入ります。この覚醒によってノドの筋肉の緊張が高まり、閉塞が解除され、呼吸ができるようになります。呼吸が再開して低酸素血症や高炭酸ガス血症が改善すると直ちに睡眠に入り、再び上気道の閉塞と無呼吸が生じます。このような現象が一晩中反復し、特に筋緊張の低下が著しいREM睡眠(夢を見ているとき)の時期に著明となります。患者さんは無呼吸を解除するために、頻回に覚醒状態を強いられることとなり、そのために起こる睡眠障害が最も患者さんを苦しめるのです。
 具体的な症状・症候については次回お話しします。

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