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2023年5月29日

米国内科学会のHbA1c目標値(その2)

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Ⅲ アメリカ糖尿病学会の見解 

アメリカ糖尿病学会の指針ではHbAlcの目標値は7%未満が推奨されていて、患者それぞれの状況に応じて目標値は個別化するように推奨されています。今回改訂されたACPのガイダンスでは,妊婦を除く成人2型糖尿病患者の大半はHbAlcの目標値を7~8%とすることが推奨されています。また、6.5%未満を達成した場合にはそれ以上HbAlc値が下がらないように糖尿病治療の強度を下げること、HbAlcの目標値は薬物療法のリスクとべネフィット、患者の希望、全般的な健康状態、余命に基づいて個別化することが推奨されていることに対して、アメリカ糖尿病学会のWilliam Cefalu氏も、適切な治療目標の達成が重大な合併症リスクの低減につながることから、HbAlc目標値の個別化の重要性については同意していますが、目標値を緩和することに対しては懸念を表明しています。「大半の患者で目標値を一律に7~8%と設定するのは、エビデンスに基づき、より低い目標値とすることでベネフィットが得られることが分かっている患者にリスクを伴う可能性がある」と指摘しています。 

Ⅳ 日本糖尿病学会の見解 

  日本糖尿病学会は今回のACPの新しいガイダンスに対して特別にコメントは出していませんが、2016年5月に日本老年医学会との合同委員会報告で、高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について新しいガイドラインを提示しています。それによると、高齢者には特有の問題点があり、身体機能の個人差が著しく、重症低血糖を来しやすいという問題点もある。重症低血糖は認知機能を障害するとともに、心血管イベントのリスクともなりうるという現状を背景に、より緩やかな血糖コントロールを提案しています。 
  それによると、認知症があり、多くの併存疾患や機能障害があるときには、8,0%未満を目標とするが、重症低血糖が危倶される薬剤(インスリン製剤、SU薬、グリニド薬など)が使用されているときには8.5%未満とすべきであるとしています。 

V まとめ 

  ACP会長のJack Ende氏は、FACPは2型糖尿病治療を軽視しているのではない。スタチンや降圧薬を併用してリスク因子を管理するように取り組むことも重要だ」と改めて強調し、血糖の下げすぎは有害な可能性を示エビデンスがあるとしています。 
  HbAlcを下げることだけが糖尿病治療の目的ではありません。良好な血糖コントロールを安全・確実に達成・維持するとともに、血圧や脂質代謝も厳格に管理していくことの重要性を再確 認させてくれたのが今回のACPのガイダンスだと思います。

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