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2019年6月3日

糖尿病と歯周病について(その1)

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Ⅰ はじめに
 
 超高齢化社会を迎えて、アンチエイジングという概念が注目されています。歯科領域では、歯の寿命を体の寿命に極力近づけることが大切で、歯を喪失する主な原因のひとつである歯周病のコントロールは最重要課題といえます。歯周病は感染症ですが、その発症と進行には、多くの因子が関わります。また、局所の感染による炎症性疾患ですが、その局所の感染や炎症が全身に影響することも分かってきました。
 さらに、メタボリックシンドロームに関わる糖尿病、肥満などが歯周病の進行に関連の深いことが明にされてきています。

Ⅱ 歯周病の発症と進行に関わる因子について
 
 歯周病は細菌感染症ですから、細菌がいなければ発症しません。歯と歯肉の間にある歯肉溝に細菌が増殖することで、周囲組織に炎症、組織破壊が起き、最悪の転帰として抜歯に至るという経過を歯周病は辿るのです。口腔細菌学の進歩により、レッド・コンプレックスと呼ばれている3種類の細菌が、タンパク分解活性を持つという性質がある悪玉菌として、成人型の歯周炎の発症と進行に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきました。歯科医院で行う歯周病診断での細菌検査では、これらの悪玉菌の存在を確かめることが重視されています。
 歯周病に影響する環境的要因として、最も重要なのは喫煙です。喫煙は、歯肉の炎症症状がそれほど強くないにもかかわらず、組織破壊の程度を強くしたり、治療に対する反応性を低くすることが知られており、歯科治療上問題となります。
 また、夜間に行われる噛みしめや歯ぎしりによる力は、食事の時とは異なり、その力をコントロールすることが難しいために、組織破壊の大きなリスク因子と考えられています。
 この様に歯周病の発症と進行には、病原性細菌の存在ばかりでなく、多くの因子が深く関わっているのです。

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