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2019年5月7日

糖尿病と睡眠不足(その1)

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Ⅰ はじめに
 
 近年我が国では、24時間社会」といわれています。大人から子供まで人々の生活は夜型化し、就寝が遅くなり、それに伴い睡眠時間も短くなってきています。
 実際、成人の約5人に1人が睡眠障害の問題を抱えています。特に一般勤労者では、その20~40%に不眠や睡眠の質の悪さという症状が認められるとの報告があります。勤労者の睡眠障害の問題は、労働生産性や業務上の安全性の面への影響も大きく、時に重大事故につながる危険性が指摘され、社会的関心が高まってきています。
 ところで、睡眠不足は昼間の眠気や全身倦怠感、集中力低下、不安・イライラなどの身体的・精神的症状を呈するだけではなくて、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の誘因や増悪因子となりうるといわれている一方、糖尿病や高血圧では不眠が高率にみられ、不眠の原因疾患として考えられています。

Ⅱ 睡眠時間と生活習慣病
 
 必要な睡眠時間には個人差があるものの、日常の睡眠時間と死亡率の間にはU字型の関係にあるという調査報告があります。すなわち、6~7時間の睡眠をとるものの死亡率が最も低く、それ以下でもそれ以上でも死亡率は上昇するというのです。さらに、睡眠時間と肥満度(BMI:body mass index)の間にも死亡率とよく似た関係があるといいます。すなわち、6~7時間の睡眠をとるものの肥満度が最も低く、睡眠時間がそれより長くても短くても肥満度は上昇するというのです。また、同じ報告の中で、満腹の信号であるレプチンという物質の血中濃度は睡眠時間が短いものほど高いことが示されています。反対に、空腹の信号であるグレリンという物質の血中濃度は睡眠時間が短いほど高いことが示されています。
 糖尿病の発症リスクも、睡眠時間が7~8時間のものに比べて6時間以下や9時間以上のものでは有意に高くなるという報告があります。また、中年男性では不眠があると糖尿病発症の危険率が高まるという報告もあります。これらの事実は、睡眠と食欲やエネルギー代謝の間に密接な関係があることを示唆していて、睡眠週間が食欲や肥満を介して生活習慣病に影響を及ぼしていることを示すものといえます。
 睡眠不足は高血圧の発症を促進するともいわれています。一晩の徹夜は血圧に関する圧受容体反射のセットポイントを約10mmHg高血圧側にシフトさせるといいます。また、残業をシミュレートして就業を4時間遅らせると翌日の昼間にもその影響が及び、血圧が上昇することが示されています。外国の企業の健診データによると、不眠が肥満や喫煙、アルコール摂取などとは独立した高血圧の危険因子であると報告しています。
 以上より、睡眠障害、とりわけ不眠、睡眠不足があると、生活習慣病の促進因子である糖尿病、高血圧、高脂血症のいずれのリスクも高くなるといえそうです。このことから、睡眠習慣の改善により生活習慣病の促進因子を改善することでその発症が抑制できるともいえます。

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