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2019年11月5日

糖尿病と結核(その1)

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Ⅰ はじめに
 
世界の人口の1/3が結核菌に感染し、毎年約920万人が結核を発病して、約170万人が死亡しています。結核はエイズ、マラリアと並び、世界で最も重要な感染症です。結核を発病する患者の98%が発展途上国や旧社会主義国に住んでいる人々で、地域的にはアジアが51%、アフリカが30%を占めています。世界保健機構(WHO)を中心にして結核対策が進められていますが、世界的な人口増のために結核患者は未だに増加し続けているのが現状です。またアフリカには、世界の結核とエイズの重複感染患者のおよそ85%がいるとも報告されていて、結核対策ばかりでなく、エイズ対策の重要性も指摘されています。
 我が国の2008年における新規登録結核患者数は25,311人、罹患率は人口10万対19.4であり、カナダ(4.7)の4.1倍、米国(4.3)の4.5倍、スエーデン(5.4)の3.6倍と、世界的にみて依然として結核の中蔓延国といえます。
 都道府県別にみると、罹患率が最も低いのは長野県で10.2、以下、山梨県、秋田県、山形県、新潟県の順でした。一方、最も高いのは大阪府の32.8で、以下、東京都、長崎県、和歌山県、大分県の順で、大阪府は長野県の約3.2倍と、大都市を含む都道府県の罹患率が高いのが目立ちます。また西日本で罹患率が高い西高東低の傾向も変わっていません。
 また、新規登録結核患者に占める高齢者の割合の増加が著しく、48.9%が70才以上、26.6%が80才以上と結核患者の著しい高齢化が認められています。これは現在の高齢者が、戦前・終戦直後の結核高蔓延時代を経験して濃厚に結核感染を受け、高齢となった現在、体力・免疫力が低下し、また余病を併発して結核を発病していると考えられています。
 その他、社会経済的弱者の高い罹患率、重症患者の増加、薬剤耐性結核菌の増加、集団感染の多発など、我が国の結核の現状は、多くの問題を抱えています。
 一方、結核医療が不採算であることから病院経営を圧迫し、そのため結核病棟を閉鎖する医療機関が最近増えてきています。結核入院治療に冠する診療報酬の大幅な増額や、地方自治体からの補助金給付の問題など、早急に改善策を講じないと、今後の我が国の結核医療が崩壊しかねない厳しい状況になっています。
 最近の我が国の結核発病は、高齢者結核の増加と共に、特別な問題を持つハイリスク集団に集中する傾向にあります。このハイリスク集団としては、結核患者、特に排菌している結核患者に接触したした者や結核治療歴のある者、糖尿病、エイズ、じん肺、腎透析、免疫抑制剤使用者、ホームレスや日雇い労働者などの健康管理の機会に恵まれない者、医療従事者など職業的に結核感染暴露を受けやすい者、その他胃切除を受けた者ややせている者などが挙げられます。この中でも、糖尿病は最近の結核合併症として最も頻度が高く、結核の合併症として最も重要な疾患といえます。

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