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2019年2月12日

糖尿病と脳神経麻痺について(その2)

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 Ⅲ 顔面神経麻痺
  
 急性末梢性顔面神経麻痺は糖尿病患者でもよく見られます。
麻痺側の瞼が閉じにくい、口唇周囲の皺が消失する、口唇から水がこぼれる、麻痺側頬部に食物が貯留するなどの症状が一般的です。舌前方2/3の味覚消失や麻痺側で音が大きく聞こえる補充現象がみられることもあります。
 糖尿病患者の顔面神経麻痺は糖尿病でない人に比べて回復が遅いのが一般的です。顔面神経麻痺の治療方法はステロイド内服が一般的ですが、ステロイドには血糖値を上昇させる副作用があるために、糖尿病のコントロールが悪化することがあり、一時的にインスリン治療を行う必要になることもあります。
 糖尿病患者では健常者に比べて顔面神経麻痺が再発しやすいとの報告もあります。また、両側の顔面神経麻痺は糖尿病でも希だとされています。

Ⅳ 舌下神経麻痺
  
 顔面神経麻痺とは異なり、末梢性の片側舌下神経麻痺は遙かに少ない麻痺です。
 喋りにくいとか咀嚼困難という症状が一般的です。舌は麻痺側に偏ります。慢性化すると舌の萎縮が麻痺側でみられます。
 この麻痺は糖尿病患者で特に多いということはありません。
 
Ⅴ 多発性脳神経麻痺
 
 非常に希に起こることですが、脳神経麻痺が同時に多発したり、別々の脳神経が順次障害を受けることがあります。糖尿病で特によく起こるということはありません。

Ⅵ おわりに
  
 糖尿病で最も多くみられる脳神経麻痺は虚血性眼筋麻痺で、なかでも動眼神経麻痺が多くみられます。幸い、予後はきわめて良好で、特別な治療は必要でなく、血糖コントロールを改善するだけで、ほとんどの症例が数ヶ月以内に何の後遺症も残すことなく治癒します。
 この脳神経麻痺はいくら治癒するからといっても、数ヶ月間は視力障害に煩わされるわけですから、運転とか高所作業には大きな影響があります。しかも、これらの脳神経麻痺のほとんどが血糖コントロールの悪い人にだけ発症することを考えるならば、日頃から良好な血糖コントロールを維持することに努めることで100%予防できる合併症ともいえます。

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