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2019年8月5日

糖尿病と認知症(その1)

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Ⅰ はじめに
 
社会的に日常生活を支障なく送ってきた人が、人生の後半生で、物忘れだけでなく、他の認知機能も低下してしまい、日常生活に支障をきたすようになった状態を認知症といいます。
 我が国の認知症人口は、65~69才で全体の1~2%、70~74才で2~4%、後期高齢者の75~79才で7~8%、80~84才で14~15%、85才以上になるとほぼ30%というのが現状です。すなわち、年齢が5才上がる毎に、有病率が倍になるという特徴があります。

Ⅱ 認知症とは
 
アルツハイマー型認知症の診断基準は、「記憶障害があって、さらに失語、失行、実行機能障害などの認知機能障害が1つ以上認められ、社会生活上、職業上で支障をきたしていること」とされています。このアルツハイマー型認知症は、いつの間にか発症して、徐々に進行性の認知障害を示し、記憶障害と認知機能障害の原因が他にないという特徴があります。
 例えば、アルツハイマー型認知症患者さんに「10センチくらいの大きさの円の中に、数字の全て入った11時10分の時計の絵を描いて下さい」とお願いすると、文字難の数字の位置が少しおかしかったり、中心がずれていたり、針にも余分な線を描いたり、それを消したりします。時計の絵を描くという簡単なことでも、認知機能低下がある程度判断できるのです。
 アルツハイマー型認知症の初期症状に、「新しいことを記憶できない」、ということがあります。学生時代の学校の名前や住所、先生や友達の名前など、昔のことは生き生きと話すことができるのに、ついさっきした話の内容を忘れてしまうのです。軽い人は、どこの駐車場に車を止めたのか判らなくなってしまいます。それから着衣失行になると、ネクタイを結ぶことができなくなり服装が乱れてきます。女性では、少し前までは毎日手の込んだ料理を作っていた人が、段々と料理がワンパターンになってくることがあります。これらは、実行機能、あるいは遂行機能が衰えてくるために起こります。
 感情面では、うつやアパシー(やる気のなさ)で発病する人もいます。外来に認知症の人が家族と一緒に来たときに、家族には後に控えて貰って患者に質問すると、自信なげにすぐ後を振り返って家族に助けを求める様子もよくみられます。
 アルツハイマー型認知症では誤魔化す態度をとるので、初期徴候はなかなか判りません。例えば、「お薬は飲みましたか」と聞くと、「先生の薬は全部飲んでます」などといいますが、実際は全然飲んでいないのです。これは、嘘をつくわけではなくて、覚えていないことを誤魔化そうとする、「取り繕いようの応答」とも呼ばれる反応で、医師にとっても忙しい日常診療の場で見抜くことが難しいことがよくあります。従って、高齢者で急に血糖、血圧、脂質が急に悪くなってきたら、アルツハイマー型認知症を疑えといわれています。 時々診察日や時間を間違える場合にも、「今日は別の用事があってちょっと来た」などと取り繕います。また、以前は一円単位まで細かく支払っていた人が、ポンと一万円札を出すようになった場合には、実は計算が苦手になってきたので、そういう支払い方をするようになることもよくあります。

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