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2026年6月8日

糖尿病と骨折(その1)

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 Ⅰ はじめに
 
骨粗鬆症による骨折は、心血管イベントや認知症と並んで健康寿命を損なう主な原因の一つです。また、骨折自体も心血管イベントや認知症のリスクになります。これらに共通する背景リスク因子として、2型糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病などの生活習慣病があります。骨粗鬆症患者さんは多くの疾患を合併していることが多く、これらの多くの疾患が骨折のリスクを高めます。従って、生活習慣病とそれに関連する骨粗鬆症を予防することは、生活習慣病を背景とした骨粗鬆症だけでなく心血管イベントや認知症の予防にも繋がるともいえます。

Ⅱ 生活習慣病に関連した骨折
 
原発性骨粗鬆症は女性に3~4倍多い疾患ですが、生活習慣病も含めた原因疾患がある続発性骨粗鬆症の頻度には男女差がありません。このため、生活習慣病に合併した骨粗鬆症では男性患者のケアも重要になります。
 原発性骨粗鬆症では骨密度が骨強度の70%程度を規定していて、骨強度低下が骨折の最大リスク因子としていますが、骨密度低下だけで骨折を予測することには限界があります。また、骨折の既往の有無もリスク因子としてあげられていますが、これらの因子だけではやはり骨折を予測することは困難です。さらに、糖尿病などの生活習慣病に伴う骨粗鬆症では骨質劣化も寄与することが知られています。骨質は骨を形成するコラーゲンとカルシウムのバランスから決まります。骨成分の50%はコラーゲンからできています。このコラーゲンの劣化が骨の脆弱性をもたらし、骨粗鬆症となるのです。
 これまで続発性骨粗鬆症原因疾患としては、1型糖尿病や関節リウマチが重視されていましたが、2019年に発行された生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイドでは、骨折の既往がない人で骨密度が70~80%の骨量減少症でも、糖尿病などの生活習慣病がある場合には、薬物治療の対象となるという試案が示されています。

Ⅲ 糖尿病と骨折リスク
 
膵β細胞からのインスリン分泌低下が原因で起こる1型糖尿病では骨密度が低下しますが、これ以上に骨折リスクが高いことが知られています。これに反して、肥満を伴う2型糖尿病では骨密度はむしろ増加していますが、骨折のリスクが高いとされています。糖尿病による全骨折リスクは1.32倍ですが、糖尿病による骨折リスクは部位特異性が高いとされていて、大腿骨近位部骨折リスクは1型糖尿病で4.35倍、2型糖尿病で1.27倍、糖尿病全体としては1.77倍髙いとされています。リスク増の男女差はありませんでした。上腕骨、踵骨の骨折リスクは高かったのですが、橈骨遠位端骨折と椎体骨折のリスクは高くありませんでした。2型糖尿病での骨折リスクには骨質低下の影響が大きいとされています。

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