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2023年7月2日

糖尿病性消化器障害(その2)

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Ⅲ 胃の合併症 
糖尿病では萎縮性胃炎の合併率が高く胃酸分泌低下をきたしている症例が多いことから、消化性潰傷の頻度は少ないとされています。また糖尿病性ケトアシドーシスの場合、一過性の消化器運動異常による急性胃拡張がみられることがあります。 

1糖尿病性胃症 
1)症状 
糖尿病性胃症は糖尿病患者の2~3割の患者、特に血糖コントロール不良で罹病期間の長い患者でよくみられます。無症状の症例もありますが、重症化すると腹部膨満感,胸焼け、悪心、嘔吐などを認めます。胃内容の停滞が12時間以上にもわたることがあります。本症を合併した糖尿病患者では摂取した食事内容の胃排出速度が遅く、また時には早くなったりと安定せず、血糖値が変動することがよく見られます。 
2)診断 
糖尿病性胃症による胃排出遅延の最も簡便な診断法は,早朝空腹時のX線や内視鏡での食物の胃内停滞を確認することです。その他感度・特異性の高い検査法として胃筋電図、胃内 圧測定法、胃排出機能検査などがあります。 
3)治療 
糖尿病性胃症の治療及び予防のためにはまず良好な血糖コントロールが必要です。消化管運動賦活剤の内服で自覚症状の改善と胃排出機能の改善が認められていています。 

2ヘリコバクターピロリ感染症 
糖尿病患者では非糖尿用病患者に比べて高頻度にヘリコバクターピロリ菌の感染を認め、胃炎や潰傷のない非糖尿病患者に比べて感染の頻度は約2倍とされています。自律神経障害はヘリコバクターピロリ感染の発症、再発と関係があるとされています。ヘリコバクターピロリ感染を認めた場合は除菌を試みるべきでしょう。忠除菌五食欲が亢進して血糖コントロールが悪化することがあるので注意が必要です。 

IV 腸の合併症 

1小腸 
糖尿に合併する下痢は一般に糖尿病性下痢といわれ、罹病期間の長い症例にみられ欧米ではその頻度は20%前後と比較的高いものがあります。この下痢の特徴は無痛性の多量の水様性下痢で、出血を伴わずしはしば夜間にみられ、時には便失禁を伴います。数ケ月から数年にも及ぶ慢性持続的な下痢と、正常便・便秘をはさむ間欠性下痢の場合があります。この機序は明らかではないが、神経障害合併例に高頻度に認め、麻外分泌機能低下合併症例でも消化不良により下痢となります。 

2 大腸 
便秘は糖尿病の消化器症状の中でも最も頻度が高く、一般に20%前後とされています。これは主として大腸の運動機能障害によりますが、自律神経障害を有する腸管アトニーにより腸管が拡張して便の停滞をきたしやすいためと考えられています。また糖尿病患者では大腸癌の合併頻度が高いともいわれています。

3 肛門 
糖尿病性便失禁も罹病期間が長く、神経障害合併例に認められ、多くは糖尿病性下痢を合併しています。直腸の感覚障害、肛門括約筋機能障害などが原因と考えられています。

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