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2015年8月18日

糖尿病性神経障害(その1)

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Ⅰ 糖尿病性末梢神経障害とは
 
 糖尿病の合併症として最も有名なのが、この神経障害です。一般的には手足のしびれ、痛みやジンジン感などの症状がでてきます。
 糖尿病に特有な合併症は、細かい血管が障害されるために起こるといわれています。私たちの神経組織は血液を多量に必要とするため、神経は細かい栄養血管に網の目のように取り巻かれています。このため、神経は糖尿病性慢性合併症が一番最初に現れる組織として有名です。糖尿病を全く治療しないでいると、糖尿病発病後平均約5年で神経障害が起こるといわれています。
 私たちの神経には、筋肉を動かすための運動神経、熱い、冷たいとか、痛いなどという感覚を認知するための感覚神経、心臓や消化管などのヒトが生きていくための様々な機能を調節するための自律神経など、様々な神経があります。糖尿病が原因で起こる神経障害は、これらのいずれの神経にも起こります。
  
Ⅱ 神経障害にはどんなものがあるのか
1)末梢神経障害
 糖尿病性神経障害というとき、普通はこの末梢の感覚神経が障害される神経障害ことをいいます。
 この神経障害の特徴としては、
A 左右対称性に、手足の末端(手袋・靴下型)から症状が現われます。
B 症状は下肢から始まり、やがて上肢にも出現します。
  一般的には、下肢の方が上肢よりも症状が強く出ます。反対に、上肢 がしびれているのに、下肢は何ともないという糖尿病性神経障害はありません。このようなときは、頸椎症などの他の病気を疑います。
C 自覚症状には、しびれ感、チクチク感、疼痛、ジンジン感、知覚鈍麻などがあります。
 多くの場合、この神経障害は血糖コントロールが悪いヒトに起こります。まれに、糖尿病の治療を開始して、それまで高かった血糖値が急に低下してきて安定し始めたときに、それまでなかった神経症状がでてきたり、あるいは治療を始める前よりも症状が強くなることがあります。このような状態を、「治療後神経障害」といって、通常の神経障害とは区別しています。このような「治療後神経障害」の場合は、数カ月で症状は消えていくことが普通ですから、心配はいりません。
 また、それまであった足のしびれが消えたときに、神経障害がよくなって治った場合と、逆に神経障害が悪化して、ついに感覚がなくなってきたために、しびれを感じなくなる、という場合もありますから注意が必要です。糖尿病のコントロールが改善してもいないのに症状が消えたときは要注意です。(この項つづく)

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