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2019年12月2日

糖尿病治療を中断しないために(その1)

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Ⅰ はじめに
 
我が国の糖尿病患者さんは年々増加し続けていますが、一方で未受診者や治療中断者が多数いることも憂慮すべき問題です。治療を開始したにもかかわらず、途中で放棄してしまうのは「もったいない」ことですし、悲惨な合併症が進行する危険を考えると誠に残念なことといえます。治療中断に至る理由は、患者さん自身の糖尿病という病気に対する認識や職業上の背景および経済的な問題、さらに通院を始めた医療施設や医療スタッフの問題など、多岐にわたるものと考えられます。しかし、糖尿病治療の中断を予防して、中断者を再び治療の現場に復帰させることは、糖尿病に特有な合併症の発症を阻止したり、その進行を遅らせる上で重要なことなのです。

Ⅱ 治療中断者の実態
 
糖尿病治療中断に関する全国調査の結果では次のようなことが判りました。
1)過去における治療中断率は26%(男性29%、女性20%)でした。
2)最初に治療を中断した時期は、初診から6ヶ月以内が35%、6~12ヶ月が35%、12ヶ月以上が30%でした。
3)治療を中断した回数は、1回が35%、2回が30%、3回以上が35%でした。
4)治療中断時の職業は、サラリーマンと専門職が52%と最も多い割合でした。
5)治療中断時の治療法は、食事療法のみが56%、経口薬治療が30%、インスリン治療が14%でした。
6)治療を中断した理由は、仕事が忙しくて通院できなかった(39%)、自覚症状がないため通院する気持ちになれなかった(30%)、一度通院がとぎれたときに次ぎに受診しずらくなった(26%)などが主なものでした(複数回答のため合計は100%以上になります)。
7)再受診した契機(複数回答)は、自分で再び治療が必要だと思った(43%)、糖尿病の症状が現れた(35%)、他の疾患で通院していた医療機関から受診を勧められた(26%)、健康診断で指摘された(26%)、家族に受診を勧められた(22%)、以前糖尿病で通院していた医療機関から受診を促された(22%)等でした。
8)治療を中断した患者さんが再受診したときのHbA1cは74%のヒトが8%以上でした。

Ⅲ 治療中断と腎不全
 
糖尿病に特有な合併症の中でも慢性腎不全は合併症の終末像と考えられています。現在の医学では慢性腎不全が直接の死因となることは少なくなりましたが、血液透析を受けるようになる原因疾患の第一位は、1998年以降は糖尿病です。血液透析患者1名には年間約550万円の医療費がかかるため、医療経済の観点からも対策は急務といえます。治療を中断せずに糖尿病専門医に通院している患者さんでは末期腎不全に至る確率は極めて低いという調査結果があります。継続通院することがこの様な悲劇を防ぐ一番の方法なのです。

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