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2021年10月4日

肥満症の運動療法ー成功のコツ(その3)

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Ⅱ 運動療法の実際

2)運動処方

①運動量(エネルギー消費量)
 
肥満症の運動療法の特徴は、エネルギー消費量が多いことです。一般的な健康目的で行う運動療法では、中強度の運動を1日30分、ほぼ毎日(週5日)行うことが推奨され、エネルギ ー消費量は週700~1000kcal程度です。その減量効果、合併症の改善効果は食事療法に比べて小さく,減量維持にも不十分なことはすでにみたとおりです。体重減少は中強度で週150分以下では僅か、週>150分で2~3Kg、週225~420分で5~7.5Kgとされ、減量後の体重維持には週200~300分(60分×週5日)の運動が推奨されます。運動習慣のないヒトが始めからこの運動量をこなすのは困難なので、当初は1日合計30分程度の中強度の運動から始める。この導入レベルの活動量でも種々の健康上のメリットはありますが、運動のメリットを十分得るには,長期間かけて徐々に高い活動レベルに高めることが重要です。

②運動継続時間,頻度、生活活動
 
中強度の生活活動で10分以上続けて行うものとして、歩行の他に自転車での運動があります。一方、自宅にいる主婦、高齢者などは、まとめて運動する時間を設けるようにします。10分程度の身体活動を繰り返す方法は、当初は活動量が増えても1年以降は減少し、まとまった運動を指示された場合と遵守率に差がなくなるからです。細切れの身体活動は、これまでの活動レベルに上乗せして、エネルギー・バランスを増やすのが目的なのです。なお、十分な運動量が確保されている場合は、運動の頻度の条件は必ずしも重要ではありません。

③運動強度
 
当初は安全のため、中強度の運動(安静時と最高強度の間の40~60%に相当)から始めます。これはウォーキングでは男性時速5~6Km、女性4~5Kmの各人が無理なく歩ける1番速い速度に相当します。この強度での自覚症状は「ややつらい」という程度で、軽く息が弾みながらも運動中に会話が可能な強度です。最近の歩数計は中強度の活動を別表示できるものがあり、ゆっくり歩行と速歩のウォーキングを区別し、運動の質のモニターに有用です。また、近年は心拍数計も普及し、心拍数による運動強度の管理も可能になりつつあります。心拍数は運動強度とほぼ直線関係にあり、最大心拍数の予測値(=220ー年齢)を用いて、たとえば50%心拍予備能に相当する(最大心拍数ー安静時心拍数)×0.5+安静時心拍数となる心拍数で運動するように指示してくれます。
 なお、運動習慣のないヒトに初めは勧められませんが、高強度の運動は内臓脂肪の減少に有利な可能性があります。すなわち、高強度運動がウエスト周囲長の増加に予防的だという研究や、同じエネルギー消費量では高強度運動の方が内臓脂肪の減少が大きいとする研究(これとは反対に差がないという研究もありますが)、内臓脂肪は低強度の運動では減少せず、中および高強度の運動で減少するという数多くの報告があります。したがって、まずは運動量を増やしていき、可能ならば運動強度を上げることが内臓脂肪蓄積の予防・是正に有用と考えられます。

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