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2023年3月20日

肥満症診療ガイドライン(その2)

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Ⅳ 肥満症に合併する疾患 
  
長い間、脂肪細胞の機能は、過剰のエネルギーを中性脂肪として蓄える貯蔵庫と考えられていました。1990年代に脂肪細胞が整体調節機能を有する多くのアディボサイトカインあるいはアディポカインと呼ばれる生理活性物質を産生していることが判明しました。過食、運動不足からくるエネルギー過剰の結果、脂肪細胞異常を来し、多種多様な疾患を発症させます。種々のアディボサイトカインの異常産生・分泌を高めた結果、血管や全身に炎症性変化を生じます。また内臓脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は門脈中に放出され、肝臓に大量の遊離脂肪酸が流入するため、非アルコール性脂肪性肝疾患や脂質異常症を生じます。
肥満症の合併する疾患は主として内臓脂肪蓄積に起因していて、診断に必要な11種の健康障害(耐糖能異常・2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、冠動脈疾患、脳梗塞、肥満関連腎症、月経異常、骨・関節疾患、睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性肝疾患、高尿酸血症)と、診断基準には含めないが肥満に関連する健康障害が挙げられています。前者は肥満に起因しかつ減量で改善しますが、後者は必ずしも朋満に起因しないか、あるいは減量によっても改善しない病態です。

V 高度肥満症 

BM125~35の肥満症とBMB5以上の高度肥満症に区別しました。この区別は単にBMIの大小により分けたのではなくて、肥満症と高度肥満症では病態が異なる結果、治療、管理も異なるので、別個の病態と認識すべきだからです。 
肥満症の病態は主として内臓脂肪の過剰蓄積が原因で、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肝障害、高尿酸血症などを併発していることが多く、放置すると心血管疾患を生じることから、減量治療が有効です。一方、高度肥満症では睡眠時無呼吸症候群や肥満肺胞低換気などの睡眠時呼吸障害や、心不全、肥満関連腎臓病、運動器疾患、静脈血栓症、皮膚疾患などを生じ やすく,精神的な問題を抱えていることが多いので、減量目標や治療法、治療のアプローチなどにも違いがあります。 

Ⅵ 減量目標 

減量目標は、肥満症では現体重の3%、高度肥満症では5~10%に設定されました。肥満症治療の基本は、体重を減らして普通の体重にすることではなく、体重を減らして合併する疾患を改善、解消することにあります。内臓脂肪が過剰蓄積している肥満症では、内臓脂肪に起因する疾患が複数、同時に発症します。したがって、体重を減少させれば内臓脂肪が減少するので、複数の疾患が一斉に改善。解消します。このことことが肥満症診療治療の最大のメリットで、追求されるべき点といえます。
体重が著しく増加している高度肥満症では、合併症の改善に5~10%以上の減量が必要です。合併する疾患によってはさらに大きな減量も必要です。例えば、睡眠時無呼吸症候群では15%以上の体重減量が必要です。最近の研究では、がんや認知症も肥満患者で起きやすいことが分かってきましたので、肥満症の治療は重要といえます。

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