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2022年11月14日

脂質異常症と生活改善(その2)

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V脂質摂取の制限と脂肪酸の選択 
  
食事中の脂質摂取を制限することは血清脂質改善とともに体重減少にも有効です。動脈硬化性疾患予防に向けて、脂肪エネルギー比率20~25%が推奨されています。 
 脂質栄養を考える上では脂肪酸の選択が重要です。動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸摂取を減らすことがLDL-C低下に有効で、心血管イベントの抑制につながることが報告されています。しかし、飽和脂肪酸摂取量が極端に少ないと脳出血の発症率が高くなることが知られており、総エネルギー比4.5~7%の範囲での飽和脂肪酸摂取が好ましいとされていて、牛肉、豚肉、特に脂身や内臓、皮の摂取と乳製品およびこれらを原料とする動物油やパーム油などを抑えると効果的です。 
 飽和脂肪酸を減らして、その代わり、不飽和脂肪酸摂取を増やすようにバランスを考慮します。鰯、秋刀魚などの青魚、に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)といったn-3系多価不飽和脂肪酸を積極的に取るようにします。このn-3系多価不飽和 脂肪酸にはTG低下やインスリン抵抗性改善作用、さらには血小板凝集抑制や血管内皮機能改善が期待され、日本人でも魚摂取の多い人で冠動脈疾患が少ないとされています。 
 植物油に多く含まれるリノール酸などのn-6系多価不飽和脂肪酸摂取でLDL-CやTGが低下しますが、動脈硬化性疾患に対する予防効果は不明です。また、オリーブ油やナッツなどに多く含まれる一価不飽和脂肪酸摂取を増やすとLDL-CやTG改善が期待できます。 
トランス脂肪酸を摂取すると動脈硬化性疾患が増加することが知られています。天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型ですが、液状の油から固形の油脂を製造する加工技術である 「水素添加」の過程でトランス脂肪酸が生成されます。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングやそれらの原材料に使ったパン、洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が多く含まれています。工業的に生成されたトランス脂肪酸はLDL-Cを上昇させ、HDL-Cを低下させて冠動脈 疾患を増やすことが知られています。 

V コレステロール摂取制限 
  
食事中のコレステロール摂取制限の意義を疑問視する意見があります。その理由として、血中LDL-Cに対しては食事中の飽和脂肪酸摂取の関与が大きく、コレステロール摂取の影響が明確ではないことが挙げられています。さらに、腸管からのコレステロール吸収率や肝臓でのコレステロール合成の程度に個人差が大きく、また、代表的なコレステロール高含有食品である 鶏卵摂取量と血清脂質値の関係が一定ではないことも問題とされています。こうしたことを背景に、2013年に米国心臓協会と米国心臓学会から、「コレステロール摂取量を減らして血中 コレステロール値が低下するか判定する証拠が数字として出せないことからコレステロールの 摂取制限を設けない」との見解が出されました。しかし、このことが脂質異常症患者にそのまま 当てはまらないことに注意が必要です。日本人の平均コレステロール摂取量は男性340m8/日、女性290mg/日であることから、飽和脂肪酸を総エネルギー比7%未満に制限するとともにコレステロール摂取を200mg/日未満に低下する必要があります。

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