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2020年7月5日

腎硬化症について(その2)

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Ⅳ 腎硬化症の自覚症状

①動脈性腎硬化症
 腎動脈病変が軽度の場合、自覚症状はほとんどありません。アテローム性動脈硬化病変が高度に存在するときは、高齢者で急に高血圧が現れたり、それまであった高血圧が急に増悪します。高齢者では老人性腎硬化症のために腎機能が低下して尿濃縮能が低下するために夜間多尿となります。

②良性腎硬化症
 自覚症状はほとんどありません。本態性高血圧症では軽度の尿タンパクを認めることもありますが、尿沈渣などの検査所見にも異常を認めないことがほとんどです。腎機能も正常です。

③悪性腎硬化症
 定型的なものは本態性高血圧症を基礎疾患とした悪性高血圧で、高血圧の進行が急激で、頭痛や悪心・嘔吐が強く、体重が減少し、意識障害や全身痙攣などが現れる高血圧性脳症や急性心不全などを併発するものが多くみられます。血尿を伴うことが多く、尿沈渣検査では腎尿細管病変の存在を示す所見が認められます。

Ⅴ  腎硬化症の予後
 
脳血管障害、心不全、腎不全で死亡するものが多いことが知られています。かつて、有用な降圧薬がなかった時代には、腎硬化症の生じた本態性高血圧症の予後が極めて悪く、50%もの患者が2~3年以内に死亡していました。しかし、近年は有用な降圧薬が開発され、悪性高血圧症でも血圧をコントロールすることができる様に成り、予後は著しく改善しました。また、高血圧のコントロールにより中等症高血圧から悪性高血圧に進行するものが殆どなくなり、腎硬化症の予後は改善しました。最近は高齢化と共に老人性腎硬化症のために腎不全になり血液人工透析を受ける人が増加してきています。

Ⅵ 腎硬化症の治療
 
高血圧症の治療が全ての基本となります。高血圧症の病態に関与する腎臓内の動脈を拡張させる効果がある降圧薬である、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBなどや、血管拡張作用のあるβ遮断薬などが適しています。良性腎硬化症では高血圧のコントロールは容易ですが、中等症から悪性高血圧症では作用機序の異なる複数の降圧薬の併用療法が必要となります。末期腎不全となった場合は血液人工透析療法が必要となります。腎動脈主幹部狭窄が原因で腎血管性高血圧が発症したものは、狭窄部分へのステント挿入による拡張などという、病変部の治療が必要となる場合もあります。

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