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2023年11月13日

運動療法と血糖の関係(その1)

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Ⅰ 運動による血糖低下のメカニズム 

2型糖尿病の原因にインスリン抵抗性がありますが、運動は主に骨格筋のインスリン抵抗性を改善して血糖値を低下させることができます。このインスリン抵抗性のメカニズムのひとつとして、異所性脂肪蓄積があります。異所性脂肪蓄積とは脂肪組織以外に蓄積する脂肪のことで、肝臓や骨格筋細胞内に蓄積してインスリンのシグナル伝達を阻害することでインスリン抵抗性をもたらすと考えられています。この異所性脂肪(脂肪肝、脂肪筋)とインスリン抵抗性に対する食事療法と運動療法の効果について調べた順天堂大学の研究があります。二週間の調査期間の間で、食事療法だけの群と食事療法に運動療法を加えた群を比較したところ、両群共に体重減少は平均2%程度で、脂肪肝もほぼ同等に約30%減少し、それに伴って肝臓への糖の取り込みが増加していました。骨格筋に関しては、食事療法単独では脂肪筋と筋インスリン抵抗性は変化しませんでしたが、食事療法+運動療法群では脂肪筋が19%減少し、筋インスリン感受性は57%増加していました。食事療法+運動療法群での運動量の増加量は、歩数カウントでべースラインよりも4,000歩程度の増加でした。脂肪筋の減少は運動により細胞内脂質が消費された結果であることも確認されました。これらの観察結果から、2型糖尿病で食事療法によるエネルギー制限は、体重減少が僅かでも脂肪肝を大幅に減少し,代謝を改善することが示されました。また、運動療法は主に脂肪筋を減少させ、骨格筋のインスリン抵抗性を改善することも示されました。この調査で調べられたのは運動の慢性効果ですが、単回の有酸素運動でも食後血糖値が改善します。この運動中から運動直後数時間までの血糖低下は、運動の急性効果と呼ばれています。この運動の急性効果は、骨格筋でのインスリン非依存的作用による要因が大きいと考えられています。 

Ⅱ 2型糖尿病に対する有酸素運動やレジスタンス運動の血糖改善効果 

運動が2型糖尿病の血糖コントロールを改善することは、これまでの多くの研究で明らかにされてきていて、運動療法を行った群は平均0.67%のHbAlc低下効果が認められています。また、運動の種類に分けての検討では、有酸素運動(-0.73%)、レジスタンス運動(-0.57%) 有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせ(-0.51%)でそれぞれの群で血糖コントロールの改善を認めています。その一方で、身体活動を上げるようなアドバイスに食事療法のアドバイスを組み合わせた方がHbAlc(-0.58%)をよく改善したが、身体活動に関する助言だけでは血糖コントロールの有意な改善は認められませんでした。これらの結果は、運動療法を確実に行えば血糖降下が期待できますが、助言のみでは実際に確実に運動が行われているかが問題になってくるため、血糖降下が認められなかった可能性も否定できません。しかし最近の研究では、運動に関する助言を歩数計を用いて具体的に行うと効果が高いという結果が出ています。歩数計を用いて3,000歩/日の増加の目標設定して指導した群と、1日30~60分活動的に過ごすように指導した群を比べたところ、歩数計群では目標値には届かなかったが1,220歩/日の歩数増加を認め、HbAlcの両群間の差は0.38%でした。これらのことから、3~4ケ月に一度の歩数計を用いた具体的な助言を行えば、従来の時間を元に指導場合よりも有意な血糖降下が期待できることが明らかにされました。 

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