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2016年7月4日

運動療法の功罪(その2)

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Ⅲ 運動療法のリスク

(1)運動中および運動後の低血糖(軽度から中等度の運動)
  運動中の低血糖はいうまでもありませんが、運動後の低血糖に注意する必要があります。昼間の運動が、夜間や翌日の低血糖を起こすことがあります。

(2)運動中および運動後の高血糖(強度の運動)
  強度の運動はインスリンの分泌を低下させます。インスリン分泌が低下すると肝臓での糖産生が強まり、細胞への糖の取り込みが低下する結果、血糖値が上昇します。この現象は、健常人でもみられます。

(3)高血糖およびケトン体の増加(血糖コントロールが不良な患者)
  (2)と同じメカニズムで、ケトン体も増加し、体内の代謝状態は悪化します。

(4)潜在している心疾患の悪化(心筋梗塞、不整脈など)
  糖尿病患者では 無症候性の心血管疾患を合併している場合が少なくないので注意が必要です。特に中高年の糖尿病患者が常ならぬ運動を行ったために、心筋梗塞、致死的な不整脈、突然死などを起こす危険性があります。

(5)関節疾患の悪化
  変性性の関節疾患や軟部組織の障害に注意する必要があります。これは、神経障害があって、知覚が正常でない部位に怪我をしそうな患者では、特に重要です。変性性関節疾患は膝に負担がかかるような運動を定期的に行う場合によくみられます。火傷、切り傷などの怪我は末梢神経障害がある患者では注意を払う必要があります。

(6)慢性糖尿病性合併症の悪化
a)増殖性網膜症
 運動により硝子体出血や網膜剥離を起こす危険性があります。特に、頭を下にする体位、眼球への圧迫、頭部への外傷などが起こりやすい運動は避けるべきでしょう。

b)腎症
 運動すると蛋白尿や微量アルブミンが増加します。これが、腎症の悪化を意味するのかどうかは議論のあるところです。腎臓の専門家の間では、運動により腎臓の血流が増えるために蛋白尿が増えるだけで、腎症の進行とは関係ないという意見が主流となっています。

c)末梢神経障害
 知覚障害がある部位に無痛性の外傷が起こる危険性があります。

d)自律神経障害
 自律神経障害が進行していると、運動に応じて心拍数、心拍出量、血圧が上昇するという機能が低下していたり、消失していたりするため、危険なことがあります。また、脱水に対する反応の障害や起立性低血圧も問題です。自律神経障害のある患者が長時間にわたり運動して脱水になると、運動後に起立性低血圧が出現することもあります。

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