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2022年9月5日

配合剤について(その1)

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Ⅰ はじめに 
  
これまでわが国の厚生医療行政では、薬の一製剤にはーつの成分だけを含んだほうが、副作用などを考えたときに安全性に勝るという考えで、以前より欧米で広く使われていた配合剤(ーつの製剤に二種類以上の成分をもつ薬剤を配合した薬剤)の製造と販売は、一部の総合感冒薬などを除いて、保険医薬品では禁止されていました。 
 2005年3月厚生労働省医薬食品局は、経口医療用配合剤の承認について、「①輸液など用時調整が困難、②副作用(毒性)軽減・相乗効果がある、③患者の利便性の向上に明らかに資する、④その他配合意義に科学的合理性が認められる」、これらのいずれかを満たすことが条件であり、さらに配合成分中の単剤の安全性などに問題がなければ配合剤は新薬として承認されるという通達を出しました。その根拠は単剤の使用例数が少ない段階では、有害事象か成分によるものか配合によるのもかが不明だからです。配合剤の開発にあたっては、2剤の単なる組み合わせでなく、薬理作用や有効性の維持および安全性などの面で、適切な組成と要領を組み合わせた製剤でなければならないとしました。

Ⅱ 配合剤開発の背景 
  
しかし、そのような規制があっても製薬メーカーにとって配合剤開発のメリットは大きいものがありました。厚労省は、膨張する医療費の中で大きなウエイトを占める薬剤費を削減するために、後発医薬品(ジェネリック)使用の促進を講じてきました。このため、全国的に先進医薬品から後発医薬品への切り替えが進めようとしましたが、効果や副作用などの安全性の面で、後発医薬品に対する不信感を完全にぬぐい去ることができ、後発品への切り替えが円滑に進んでいるとはいえません。そして、先発品製薬メーカーの戦略として、既存の単剤を合わせて 特許を申請することで配合剤を新薬として扱うようになりました。新規医薬品の莫大な開発コストに比べれば、配合剤の開発は安上がりです。既に承認されている薬の効果や副作用も既に知られているので臨床試験も小規模で済み、コマーシャル・メッセージも2剤配合の有用性を強調できます。 

Ⅲ 配合剤のメリット・デメリット 
  
患者さんにとっては、複数の薬剤を服用するよりも、配合剤により服薬錠数、服薬回数が少なくなることで飲み忘れを防ぎ、単剤(先発薬)を別々に服用する場合に比較して価格が安いというメリットがあります。医療者にとっては、二つの単剤の最適量の配合比率により処方の利便性が向上します。また、単剤を二種類内服するよりも2剤の相乗的効果が期待できます。デメリットは、配合剤の投薬により副作用が生じた場合、どの薬剤によるものなのか、あるいは薬剤同士の相亙作用によるものなのかなど原因の特定が困難になることである。また、単剤同士の併用であれば、単剤の中止や減量が容易であるが、配合剤は配合量が一定の割合に固定されているため、状態に応じて容量を調節することができず、治療の柔軟性が乏しくなります。従って、配合剤の処方は、それぞれの単剤で効果が不十分な例からの切り替えか、あるいは2剤を併用して状態が安定している場合に切り替えて使用するとされていて、第一選択薬として用いることは禁止されています。 

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