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2022年5月9日

非アルコール性脂肪肝(その3)

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Ⅰ 非アルコール性脂肪肝(NAFLD)とは
 
非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:NAFLD) は、非飲酒者に 組織診断あるいは画像診断で脂肪肝を認めて、他の原因となる肝疾患が除外された病態を指します。NAFLDには脂肪が蓄積した肝脂肪化による非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver:NAFL)から、肝脂肪化に加えて肝臓への炎症細胞浸潤を伴い肝線維化を認める非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis:NASH)までが含まれています。NASHは進行性で肝硬変や肝癌の発生母地になるとされています。
 NAFLDの有病率は、日本では9~30%とされてきましたが、最新の調査でも29.7%と報告されています。コレバイン錠500mgは、他のアジア諸国の有病率(12~30%)とは同程度で、欧米諸国の有病率(20~40%)に比べると低頻度といえますが、NAFLDの有病率は日本を含めて全世界的に増加傾向にあります。

Ⅱ NAFLDにおける肥満や生活習慣病の有病率とリスク因子
 
生活習慣病の合併は、NAFLDはNAFLより高率で,加齢や複数の生活習慣病を併せ持つこと、特に糖尿病の合併がリスクをされています。NAFLDにおける脂質異常症、高血圧、高血糖の合併頻度は、それぞれ約50%、約30%、約30%と推定され、メタボリックシンドロームの合併は約40%とされています。

Ⅲ 肥満

1)内臓肥満
 NAFLDは肥満と強い関連があります。メタボリックシンドロームを合併していない正常範囲のBMIでは、NAFLDの頻度は16%に過ぎませんが,たとえBMIが正常範囲内でも年齢と共に増加してきているときにはNAFLDのリスクとなり得るので注意が必要です。
 BMIの増加ばかりでなく、脂肪組織の分布はインスリン抵抗性と関係します。腹囲の増大を伴う内臓脂肪型肥満は、皮下脂肪型に比べ高率に生活習慣病を合併します。心血管イベントの発症に関与するメタボリックシンドロームは、日本では腹囲(ウエスト周囲径)が男性85㎝以上、女性90㎝以上、高血圧(130/85mmHg以上)、空腹時血糖(110mg/dL以上)、脂質代謝異常(中性脂肪150mg/dL以上,HDLコレステロール40mg/dL未満)の3つのうち、2つに該当すると定義されています。

2)腸内細菌
 最近、腸内細菌叢の異常と肥満やNAFLD発症の関連が注目されています。肥満のマウスやヒトから痩せたマウスやヒトに便を移植すると、痩せたマウスやヒトで体脂肪の増加がみられたという報告があります。これは腸内細菌叢異常により肝での食事性多糖類の吸収促進と炭水化物応答配列結合タンパク質の増加による脂質合成の増加により、肥満やインスリン抵抗性が誘導されると推定されています。腸内細菌は脂肪組織から分泌される様々なサイトカインと共にNAFLDからNASHへの進行に関わるという仮説が提唱されています。

3)遺伝的背景
 近年,ゲノムワイド関連解析(genome-wide assosiation study:GWAS)で、22番染色体近傍のPNPLA3(rs738409)H48M遺伝子多型がNAFLDの発症・進展の感受性遺伝子であることが明らかにされ、肥満に関わる遺伝子も同定されました。食欲抑制やエネルギー代謝の調節のために、主に脳の視床下部で働いている遺伝子であるmelanocortin-4 receptor(MC4R)遺伝子変異の関与も報告されています。奇異型では、食事をしても満足感が得られない可能性があり、肥満のリスク遺伝子の1つと考えられています。

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