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2017年5月29日

食後の血糖値と動脈硬化(その1)

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Ⅰ 血糖値について復習しましょう
 
まず、「あなたは糖尿病です」と診断されるのはどういうときなのか、ここで見直してみましょう。
 日本糖尿病学会では、経口ブドウ糖負荷試験という、75グラムのブドウ糖を水に溶かしたものを飲み、空腹時、1時間後、2時間後などの血糖値を経時的に測定して、その動きをみる検査で糖尿病と診断することにしています。
 日本糖尿病学会の「診断基準」によれば、空腹時血糖値が126mg/dl以上もしくはブドウ糖負荷後2時間血糖値が200mg/dl以上のときに糖尿病と診断されます。この他、食事時間とは関係なしに、何時測っても血糖値が200mg/dl以上ある時も糖尿病と診断します。
 「糖尿病治療」とか「血糖コントロール」とは、糖尿病領域にある血糖値を、食事療法、運動療法や薬物療法(のみ薬やインスリン)を駆使して、できる限り「正常型」の領域に近づけようとすることに他ならないのです。

Ⅱ 食後血糖値はなぜ重要なのか
 
 ここからは、食後血糖値がなぜ重要なのかを、(1)糖尿病と診断されるときと、(2)糖尿病療養生活の中で、とに分けて考えてみましょう。

(1)糖尿病と診断されるときの重要性
 
 アジアで行われた大規模な疫学調査であるDECODA(Diabetes Epid- emiology : Collaborative analysis Of Diagnostic criteria in Asia)研究によると、糖尿病と診断された人 1215名の中で、空腹時血糖値のみで糖尿病と診断された人が220名だったのに対して、ブドウ糖負荷試験の2時間値のみで診断された人は546名となり、空腹時血糖値のみの場合の約2.5倍になりました。
 2型糖尿病の進展は、食後の高血糖から始まり、やがて空腹時の血糖値が高くなる、と考えられています。なぜなら、糖尿病が発症した早期の段階では、膵臓β細胞のインスリン分泌能力はあまり低下していないので、食後の血糖値上昇に伴うインスリンの追加分泌だけが上手くいかないために、食後の血糖値が上昇するのです。
 空腹時の尿検査や血糖値の測定だけでは、食後に血糖値が高くなる獄窓期の糖尿病を見逃してしまう危険性を、この調査は明らかにしました。
 アメリカは医療費を抑えるために、できるだけ検査をしないという医療が主流をなしています。検査をしない方が儲かるのがアメリカ流の医療なのです。このため、糖尿病の診断も空腹時血糖値だけの診断でかまわないとしています。何回も血糖値やインスリン濃度を測定して、検査コストのかかるブドウ糖負荷試験などはいらないと主張しているのです。これに対して、空腹時血糖値だけで糖尿病を診断する危険性を指摘する意見は、ヨーロッパとアジアの糖尿病専門医の中から多く出ていたのです。

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