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2021年9月6日

食物アレルギーについて(その1)

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Ⅰ はじめに
 
近年、食物アレルギーを持つ小児や成人が増加しています。さらに最近は種々の重大な問題が起きていて、大きな社会問題になっています。しかし、このところのアレルギー学の基礎研究、臨床研究、そしてこれらの研究成果を本にしたアレルギー治療の進歩は著しく、食物アレルギーに関する進歩も例外ではありません。発症機序と病態の解明、診断法とそれに基づく治療管理法、社会的適応などの点で、特にこれらに関する考え方の進歩が著しい。
 これらの進歩の中でも、以下に述べる3つの画期的な進歩があります。一つ目は発症機序で、食物アレルゲンの生体への侵入、感作径路は従来の経口という考えに加えて経皮や経気道もありうることが明らかになったことです。二つ目は治療管理における考え方で、食物アレルゲンとして確定した食物は十分に除去する問い従来の考えから、「除去は必要最小限に留め、さらに安全性を担保した上で積極的に食べることができるようにならないか」という方向に臨床研究(あくまで臨床研究ですが)が大いに検討され始めたことです。最後に三つ目は、社会的な対応の著しい進歩です。これらの画期的な方向性は、世界の歴史でいえば産業革命やルネッサンス、日本の歴史でいえば明治維新にも匹敵するものともいえます。
 
Ⅱ「食物アレルギー診療ガイドライン2012」の方針
 
日本小児アレルギー学会が、「食物アレルギー診療ガイドライン2012」を2011年に発表しました。これは、「ガイドラインは、その時代の最良の診療を提供するもので、そのためにはその時点で可能な限りのエビデンスを集めて評価し、その結果に基づいた診療指針を示すことが求められる」という考えに基づいて作成されました。ガイドラインは、専門医が最良と考える標準的診療の提示ですが、個々の医師の適切な診療を縛るものではないことも重要な点です。

Ⅲ 食物アレルギーの定義
 
食物を摂取することにより起こる不利益な反応はその機序が様々です。食物アレルギーは免疫学的機序が関与するものをいいます。食物アレルギー以外の不利益な反応としては,食物の毒性、先天性代謝異常症などによる非免疫学的機序によるものなどがあります。
 「ガイドライン2012」では、「食物アレルギーとは食物によって引き起こされた抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義されています。すなわち、食物の生体への侵入経路を経口摂取だけに限定しないで、経皮や経気道からの侵入や感作によっても食物アレルギーが発症することを明らかにしました。これは、成人の食物アレルギーでは特に重要です。                       

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