再診の方は原則「予約制」となります。
052-930-1311
お知らせ
2020年11月16日

高齢者の熱中症(その2)

0

Ⅳ 高齢者の生理的特徴
 
高齢者では皮膚の温度感受性が低下し、暑さに対する自律神経の順応と自律神経体温調整が送れがちになります。また高齢者では一般に若年者に比べて発汗量が低下し、皮膚血流が低下することから、皮膚から熱を放散する能力が低く、深部体温が上昇しやすいという特徴があります。熱中症では発汗による水分並びにナトリウムが失われます。一般に高齢者では体液、電解質の恒常性保持機能が低下していて、水・電解質異常が出現しやすい。体液は成人では体重の約60%を占めますが、加齢と共に減少して70才以上では約50%といわれています。また加齢により腎機能は低下し、糸球体濾過量も尿濃縮能も低下し低調多尿傾向になります。若年者は夜間に抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)により夜間排尿が制限されますが、高齢者ではこのホルモンが低下し、夜間に尿量が増加します。さらに、加齢に伴い口渇中枢の感受性の低下が起こり、喉が渇きにくくなります。
 これらの高齢者特有の生理学的特徴は直接熱中症のリスクにつながります。

Ⅴ 高齢者の熱中症に関わる身体・精神的特徴と環境因子
 
要介護高齢者は2000年の介護保険制度の開始後毎年増加し、現在450万人にも及んでいます。平成22年国民基礎調査によると、独居高齢者は全国で約520万人、要介護高齢者の26.1%が独居で、その内2割が要介護3以上です。要介護高齢者は何とか介護保険サービスを使用しながら地域で生活していているが、環境変化に極めて弱く、順応性に欠けています。
 身体機能障害や認知機能障害を抱えているのもその要因であり、十分な介護がない状態では環境変化に対応できません。それ以外にも夜間の頻尿を気にする余り、飲水を控えたり、暑さに対してエアコンを作動させずに我慢したりすることがよくあります。また昨今、高齢者世帯の貧困率が上昇し、生活保護受給世帯も多くなっています。生活保護受給者は、エアコンを購入するために社会福祉協議会から借り入れる生活福祉資金を収入と見なされてしまい、生活保護費がその分減額されてしまっていた。そのためエアコンを購入できない生活保護受給世帯高齢者が熱中症になるリスクが高いことが指摘されていた。平成23年にやっと、厚生労働省は上記の貸付金を収入と認定しない方針とするに至っています。

Ⅵ 薬剤との関連
 
高齢者は多くの疾患を抱え、多数の医療機関に通院し、多数の薬剤を服薬している可能性があります。交感神経作動薬のような血管の収縮に関連する薬剤や、心拍出量に影響を与えるβ遮断薬などは体内の温度管理に影響を与える可能性があります。その他、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、利尿薬、下剤、三環系抗うつ薬なども熱中症のリスクになります。

Ⅶ 高齢者の熱中症予防
 
一番大切なのは、十分な水分補給です。口渇に気がついたときにはかなり脱水が進行している場合が多いので、一日の食事以外の水分量を予め決めておいて、定期的に飲む、飲ませる手立てが必要です。食欲不振がある場合は飲水もできないこと多い点も注意が必要です。

一覧に戻る
0
ページトップへ
ご予約はこちらから
tel 052-930-1311 FAX 052-930-1310
再診の方は、原則「予約制」となります。※急患や初診患者はこの限りではありません
地下鉄東山線千種駅5番出口から徒歩1分
地図を見る
診療時間と休診日