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2023年4月24日

高齢者外傷の特徴

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Ⅰ はじめに 

高齢者の外傷は、受傷の原因や損傷の程度にかかわらず、重症化し致命的となることがあります。高齢者の外傷患者は若年者に比べて、外傷後に多臓器不全を起こす可能性が高く、軽度外傷でも死亡リスクが5倍高いとされています。また、半数以上が既に何らかの疾患に罹患していて、既存の疾患数と外傷後の死亡率は正の相関を示しています。
これらの背景として、①運動,感覚機能の低下により外傷を受けやすい状況にあること、②さまざまな既往症、併存症、合併症が存在すること、③意欲・抵抗力の低下に伴い、回復が遅延し廃用症候群へと移行しやすいこと、などの理由が挙げられます。 

Ⅱ 疫学 

平成28年国民生活基礎調査によれば、65歳以上のもののいる世帯は48.4%で、そのうちの 58.2%は単独または夫婦世帯でした。厚生労働省発表の平成21年度「不慮の事故死亡統計」の概況によると、死因としての「不慮の事故」は交通事故、転倒・転落、溺死、窒息、火災、中毒、その他に分類されています。高齢になるほど不慮の事故による死亡が増え、70歳以上で急増しています。年齢階級と不慮の事故の種類との関係を見ると、年齢が高くなるにつれて、転倒・転落や溺死、窒息、による死亡が多くなっています。また、交通事故以外の不慮の事故について、発生場所別にその種類を見ると、過程では溺死と窒息、居住施設(老人ホームなど)では窒息、公共の施設では転倒、転落と窒息が多い傾向が認められます。 

Ⅲ 高齢者外傷の特殊性 

1 気道・呼吸器胸部外傷 
気道・呼吸予備力の減少があると、軽度な胸部外傷でも肺炎・呼吸不全に陥りやすい。 

2 循環・出血 
高齢高血圧患者では,若年者にとっての正常血圧がすでに低血圧である可能性があります。抗凝固・抗血小板薬服用に伴う出血傾向は大量出血に繋がることもあります。

3 脳・神経損傷、頭部外傷、脊髄損傷
高齢は頭部外傷における罹患率・死亡率の独立した危険因子です。脳萎縮と硬膜下腔開大により若年者に比べて急、性硬膜下血腫の頻度が高くなります。また、老化による脊椎内部の空間が狭小化し、転倒のような軽い衝撃でも脊椎損傷が頸髄に起こりやすい危険性があります。 

4 腹部外傷 
高齢者では腹筋の弛緩や腹膜刺激症状への反応低下から、腹腔内損傷があっても、自発痛、圧痛、筋性防御を示さないもあり、診断を誤らせる危険性があります。 

5 筋・骨格損傷、骨折
高齢者は骨密度の減少、易転倒性から骨折しやすい状況にあります。骨折・転倒は認知症、 脳血管障害、高齢による衰弱についで介護が必要となった主な原因となっています。

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