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2020年6月7日

高齢者糖尿病の運動処方(その2)

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2)高齢者の運動能力の変化

A 体力・生理的予備力の低下
 立位体前屈(柔軟性)はすでに30~40才より急速に低下します。垂直跳び(瞬発力)、反復横跳び(敏捷性)や脚筋力も年々同程度に低下していて、高齢者では、ラグビー、サッカーなどの運動強度が高く、敏捷性を必要とするスポーツ競技の実施は望ましくないことは容易に理解で来ます。
 呼吸循環機能、ことに全身持久力の指標である最大酸素摂取量も加齢と共に低下していて、50才になれば20才値の約50%になります。一方、握力の低下は比較的少なく、重いものを持ち運びするという様な日常生活行動が、加齢に伴う変化を防止する身体トレーニングとなっている可能性があります。

B 個人差の増大
 各個人のライフスタイルにより低下速度が異なり、食事、運動など活動的なライフスタイルの維持により、体力の低下防止がある程度可能です。

C 組織の脆弱化
 加齢に伴い臓器、組織の柔軟性や弾力性が低下します。例えば、筋力だけでなく、筋肉量も低下し、日常生活能力が低下します。その結果、インスリン抵抗性と糖尿病を招来する危険性が生まれてきます。
 また、骨はカルシウムが減少して骨粗鬆症となり、転倒時には骨折(ことに大腿骨頸部骨折)が起こりやすく、運動を行う際には、十分な準備運動が必要で、軽い強度でゆっくりとした行動が望ましい。さらに、血管も動脈硬化の状態になれば、柔軟性が低下して、脆弱化します。

D 回復の遅延
 高齢者では、運動実施による疲労からの回復が遅延するので、運動実施後には十分な整理運動(クーリングダウン)と休養が必要となります。

E 血圧の亢進
 加齢に伴い収縮期血圧が上昇します。ことに、重量挙げの様な等尺性運動(レジスタンス運動)実施時には血圧の上昇が著しく、ダンベル、チューブ体操などのレジスタンス運動は軽い強度の有酸素運動的に実施します。

F 最高心拍数の低下
 運動によって増加する最高心拍数は加齢により低下します。したがって、運動中の心拍数が同じでも、高齢者では若年者に比べて、最大運動(最高心拍数)に対する相対的付加強度は大きくなります。

G 運動許容量の幅が少ない
 高齢者では、強度の大きい運動の実施は、危険を伴います。

以上、高齢者の身体的特徴の概略を述べましたが、加齢による変化は個人差が大きいために、画一的な運動メニューは存在しません。性、年齢、体力、疾病の有無などの医学的所見、各人のトレーニング経験などを十分に考慮に入れて、個人個人にあった「テーラーメード」な運動処方が必要となるのです。

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